小林吉弥『高橋是清と田中角栄―日本を救った巨人の知恵 』知恵の森文庫

やはり歴史は繰り返す?


 この本がユニークなのは、書名にあるように時代がぜんぜん違う 田中角栄 と 高橋是清 を人物、時代の共通点で強引に切ってみせるところにあります。

 そしてもう一つ、それらを平成の時代と同じ地平に乗せてくれるところも面白いです。


 例えばこんな風に・・・



「21世紀初頭の現在の「平成デフレ」と、約七十年前の昭和初期の「昭和金融恐慌」は、そのプロセス、背景、実態など恐ろしいほどよく似ている。

 第一次世界大戦後の大正期後半の大好況は、総需要の増大株ブームのあげくバブルを生成、やがてそのバブルが崩壊、関東大震災のための震災手形発行による不良債権問題の激化、銀行の破綻、そしてその不況、デフレというプロセスをたどって「昭和金融恐慌」というパニックを引き起こしたものであった」

        小林吉弥『高橋是清田中角栄―日本を救った巨人の知恵 』 P198


  うむむ・・・。


 時代が高橋是清を必要としたわけですね・・・。


そして・・・


「ひるがえって、昭和六十一年(1986年)11月から平成3年(1991年)初頭までのバブル期は、その対象バブル同様の総需要の増大、株ブーム、そしてはやりバブル崩壊、金融機関の膨大な不良債権の表面化、山一證券、北海道拓殖銀行日本長期信用銀行などの破綻、不況、デフレのプロセスをたどって今日に至るなど、経済実態、経済危機ぶりはまさにそっくりである」 

                                         同書同ページ


 また著者の脱線は他にもありまして、女性のファッションにこういう時代は共通の「乱れ」が起きるという指摘もそうで(笑)、昭和恐慌の頃は女学生の間に刺青が流行り、平成バブル崩壊の時に女子高生のスカート丈が短くなったことを関連付けています(ーー)。


不況と若い女性のこうした露出的関係をただしていくと、もしかすると女性相手の商売に少なからぬ光明をもたらしてくれる大きな研究テーマといえるかもしれない。」

                                          同書p199


だそうですが、どこまで本気で書いているのかは不明です(笑)。


つづく


写真はイメージです(爆)