江上剛『我、弁明せず』PHP文芸文庫
高橋是清と田中角栄の対比を進める前に、もう少し高橋是清を掘り下げてみようかと思いました。
昭和恐慌とその後の日本経済史の流れを考える上で、ケインズ型の経済政策とサプライサイドエコノミクスの市場主義経済政策の対比を念頭におくとわかりやすいと思うのですが、その対比の原型とも言えるのが、高橋是清VS池田成彬かなと思うのであります。
VSとは言っても、お互い実力は認め合っているし、昭和恐慌の時にもそれ以降も二人は協力して経済的な難局に立ち向かっています。
そういうわけで、単純な対立ではないので、歴史的なうねりの中で二人を浮かび上がらせるのが最も理解の筋道としては正しく最短距離を描きそうなのですが、その折に参考になるのがこの経済小説です。
目次はこんな感じで、まさに流れを整理するのにぴったんこ!(^^)
解説は平成の経済政策の舵取りをした竹中平蔵元大臣です。思想的には池田成彬派なわけですが、この小説で池田成彬の思想と行動を追ってみると、最後の終着点で竹中平蔵さんが待っていて現代の経済問題にすんなり行き着きそうだという目論見です。
ハハハ。図式はね・・・。難しそうだけど・・・。
ということで、じゃーん。
脱線して、ちょっとこの小説を渉猟してみます。
●第一章 昭和金融恐慌
●第二章 疾風怒濤
●第三章 銀行員へ
●第四章 出世街道
●第五章 三井銀行トップへ
●第六章 ドル買い事件
●第七章 血盟団事件
●第八章 財閥の転向
●第九章 波乱の幕開け
●第十章 蔵相兼商工相
●第十一章 戦争前夜
●第十二章 終戦
●あとがき
解説「波動の時代を生きた経済リーダー」 竹中平蔵