【ライフハック本の特徴】2シリコンバレー精神親和性その8 SFの父の遺産

 続きでーす(〃⌒▽⌒)ゞ


記憶のゆくたて―デジタル・アーカイヴの文化経済/東京大学出版会
 われわれの記録の場所はいまや脳の、そして意識の中にあるだけではない。その場所の偏在と作用を巡って、現代のデジタル技術は、人類史それ自体から遺伝子情報至るまでをわれわれ自身から外在化する。こうした現象によって開拓される世界像の変化に何が起こっているのだろうか。近年「記憶の産業化」あるいは「記憶機関」としてデジタル•アーカイブの生産は世界で加速の一途をたどっている。記憶がなぜ産業として成立するのか、その回答にはわれわれの社会資本のありようが問われている。デジタル•アーカイブの背景に横たわる歴史の変遷にはどんな景観があったのであろうか。そしてアーカイブ(保管庫)には何が収められ、いったいいつの時代からわれわれの生存行為に関与してきたのか。
『記憶のゆくたて』より

「いったいいつの時代から」は特定するのは難しいとしても、あのSF作家、H.Gウェルズが世界の情報資源を集中化し、「世界脳」(そのものズバリ!)として実際のアーカイブを構想、各国政府に働きかけた活動は1930年代に遡ることができます。


$『音の風景』 ANNEX



 その『タイム•マシン』などSFの父と称されるウェルズさんですが、こんな大部の本が翻訳でも出てるのは知りませんでした。


$『音の風景』 ANNEX世界の頭脳―人間回復をめざす教育構想

1 世界百科事典
2 現代世界の頭脳組織
3 恒久的な世界百科事典の構想
4 パリで開催の、世界文献会議の講演からの1節
5 知的情報としての教科内容



追補
立腹させられた教師
歴史に占めるパレスチナの大きさ
アメリカの没落 1937年
大西洋両岸の誤解
英語世界―“私が見たままに”



 私はまだ未読なので『記憶のゆくたて』から関連する記述を引用してみます。

「本、絵、博物館などによって、種は超人間の装置を確立する」とした世界脳の理念は、前述したようにウェルズ以前にはオトレ(情報学の父 ポール・オトレ - Wikipedia http://bit.ly/RrSOZx ゆっきー補注)を端緒として立体化されていた。
 記憶はもはやわれわれの脳に基盤をおくだけでなく、あきらかに地球上に偏在する無数のデータベース内部に蓄積された記憶の指示内容との相互作用の中に位置している。記録の世紀から記憶の世紀へと向かうわれわれの時代とは、いかなる世界なのか、再度、記録すること、記憶すること、想起することが必要になる。


 う〜む。SFはたまに有名古典をつまみ食い的に読むだけだったのでウェルズさんがこうした透徹した文明史的な視点を持つばかりか著作もあり、政府にも働きかけまでしていたというのは知りませんでした(^◇^)。

 
 ちなみにグーグルで「世界の頭脳」を検索するとウェルズさんがトップなんですが、こんなサイトが次にランクされてました。

ヘッドライン | 主要 | 政治 | 世界の頭脳に福島党首夫妻 反原発で米誌、百組中29位 - 47NEWS(よんななニュース) http://bit.ly/RrTrlR

 それはそれでヨイノデスガヽ( ̄▽ ̄)ノ。SF大国日本もこのウェルズさんの業績にはあまり注目して来なかったのかな?

 

 では次回もこのウェルズさんの発想の進化発展を概観してまいりましょう!

 つづく(〃⌒▽⌒)ゞ