ホリエモン登場の背景3「最後の恩恵」か「つまずいた出発」か
今回は、ライブドアが上場企業として登場したあたりに的を絞って背景を見てみようと思います。
元最高財務責任者の宮内亮治さんの著書『虚構 堀江と私とライブドア』講談社 が一番間近でそういう雰囲気を感じた人の肉声が溢れてますので、そこから引用してみます。
「米国の「ドットコム銘柄」の暴落が日本に波及、僅かの間にソフトバンクが5分の1。光通信が30分の1となる証券環境の中で、ライブドアは上場初日を迎えた」
派手なイメージが印象に残っていますけど、上場した時というのはすでに米国のドットコムバブルははじけていて、滑りこみセーフで上場したというのがライブドアだったようです。
「当時の社名はオン・ザ・エッヂ。まさに崖っぷちらかのスタート。よく捉えれば、ITバブルの「最後の恩恵」を受けたと言えるし、悪く捉えれば「つまずいた出発」である。」
ここで宮内亮治さんが「つまづいた出発」というのは、のちに逮捕に至るとかそういう意味ではありません。ライブドアをそういう教訓的な話として取り上げることほどつまらないことはありません(つまらないというのはこれまた誤解されがちですけど、それこそ真の意味で教訓的でないという意味です)。
「しかしITバブルの最後に引っかかっていたため、60億円を調達。我々の後の公開企業が、10億円くらいしか調達出来なかったのを考えれば幸運だった。」
彼らがそういう意味で、ギャンブルに勝ってしまってそこからは後は勝ち逃げするだけを考えていたのだとしたら、後々いろんな人がこれほどまでに取り上げる会社になっていなかったと思うのです。
とにかく彼らは60億円を手にしてしまった。
そしてこのお金は勝ち逃げの金額としては大きいけど、どうみてもこれから金融ビジネスをやるには、あまりーーーーーーーーーーーーーーーーーにも少なすぎる金額だと思うのです。
100万円は個人のお小遣いとしては大きいですけど、質屋を開こうと思ったら笑っちゃうような元手ですよね。多分この中途半端な60億という、市場を通じて手に入れちゃった(まさに○○しちゃった)お金を持て余すことになる、それがオン・ザ・エッヂの運命だったと言えないでしょうか。
以下引用三連発。
「その資金をもとにキャピタリスタで行ったベンチャー投資は、「ベンチャーが株式公開で得たお金で投資事業をやってどうする」と、批判されたものである。だが、何を言われようと、事業の「核」がないのだから、投資やM&Aで有望な事業を見つけるしかない。幸い、ITバブルの崩壊で、”手ごろ”な企業を安く入手できた」
「このキャピタリスタの金融事業で、当初はIT関連事業の赤字を埋め、やがて同社はライブドアファイナンスと社名変更、ポータル事業を支援する一方、ファンドの母体となって、マネーゲームと批判される企業買収を繰り返す。批判はあってもライブドアが投資やM&Aといったファイナンス部門を持っていなければどうなったか」
「株式を公開、マーケットから資金を調達しながら、それを本業の赤字補填や運転資金に回し、それも行き詰って市場の片隅に埋もれるようなIT関連企業と同じ運命をたどった可能性がある。私としては、のちの事件に対する批判は甘んじて受けるとして、「やるだけのことはやった」というしかない」
この状況を言い換えると・・・
ライブドアは最初に配られた手札の中に
ジョーカーを持っていた!
ということではないでしょうか。
ババ抜きを始めようとして配り終わった手札を見たら・・・
金融ゲームのババが最初に手持ちの札の中に入っていた(嘆)。
次回以降は、資本主義経済の申し子である金融ビジネスを、”ばば抜き”という点から掘り下げながらこの視点で考察してみます。
つづく・・・