2011-01-01から1年間の記事一覧

【楽しい寄り道】

ラップで経済論争 このシリーズでは背後の経済学の理論をとりあえずケインジアンとアンチケインジアンにしてますが、秀逸な副教材を見つけたのでご紹介いたします。 ズバリ! ラップで経済論争でしょーーーーー!(爆) 好評につき第二弾というのもあるよう…

本山美彦『金融権力』岩波新書

私の格付けってどのくらいだろ(ーー) 金融立国か製造立国かを仮にVSさせてみたのですが、皆さんのご意見はどっちかに偏ることは問題であるということでした。 考えてみれば両方必要なわけなので、VSにしたくなるほど対立が透けてみるという状態自体がおか…

金融権力を考える(@@)   〜書を捨てよ町へ出よう編

金融権力はやっぱり権力なんだ 金融権力という権力に対しては、権力に対する抗議の常套手段である”デモ”も盛んです。ウィキペディアに、「ウォール街を占拠せよの年表」というのがあるのですが、規模はすごいようです。 日本では過激な行動はないようですが…

本山美彦『金融権力』岩波新書

金儲けは悪いことである? それでは論点をさらに浮き彫りにしてみたいので本日は・・・ ズバリ 金儲けは悪いことであるのかどうかです。 一度はこのことを頭に浮かべたことがある人は殆どだと思うのですが、明確に悪だと言い切れないのが普通です。だって、…

野口悠紀雄『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』東洋経済

勝手にVSにするゆっきー(笑) では、本山美彦さんの本も読み進めたいのだけど、少し前まで読んでいたこの本といっその事ディベートさせてみようかなと思いました。 野口悠紀雄さんは筋金入りの金融立国肯定論者なのでその方がわかりやすいかも。 引用して…

本山美彦『金融権力』岩波新書

さらに金融権力を考える もうすこし金融権力について考えてみたくなしましたので、この本を読み始めました。 著者は、金融権力、特に最近の米国の金融帝国主義的な経済活動を非常に批判的に見ている論客です。 その意味では、このシリーズの『経済危機のルー…

山岡淳一郎『成金炎上』日経BP社

小説ブログの方で「あ〜いま書けそうだから沢山書いとこ」状態になってまして、こっちが疎かになってました。あはは〜。アマチュアは気楽でいいな(^^) こっちで皆さんに見てもらうこと意識して調べ物したり、貴重な(ほんとに貴重な)コメントいただいた…

山岡淳一郎『成金炎上 昭和恐慌は警告する』日経BP社

政界、財界をリードする金子直吉 と 重大なアキレス腱 では池田成彬が主役なので池田視点になっている江上剛作品を離れて、公平を期すため、ちょっと別の本から時代と金子直吉を見てみましょう。 「金子直吉五十二歳、人生の頂点にさしかかっていた。 日本の…

江上剛『我、弁明せず』PHP文芸文庫

前時代的な経営者?金子直吉 再び三井銀行常務室から生中継です(^^)。「鈴木商店さんの商売のやり方を見ておりますと、ちょっと心配になってくるのです。どういう心配かと申しますと、何でもおやりになり、手を広げすぎのような気がするところです。金子…

江上剛『我、弁明せず』PHP文芸文庫

金子直吉という男『我、弁明せず』 第一章「昭和金融恐慌」は、ある商人の登場から始まります。「銀縁の丸眼鏡の奥から、直吉の大きな瞳が池田成彬をにらんでいる。いかにも如才ない様子で、瞳に表情があるかのようによく動く」 成田成彬は当時三井銀行の筆…

江上剛『我、弁明せず』PHP文芸文庫

高橋是清と対比してみたい人物 池田成彬 高橋是清と田中角栄の対比を進める前に、もう少し高橋是清を掘り下げてみようかと思いました。 昭和恐慌とその後の日本経済史の流れを考える上で、ケインズ型の経済政策とサプライサイドエコノミクスの市場主義経済政…

江上剛『我、弁明せず』PHP文芸文庫

高橋是清と対比してみたい人物 池田成彬 高橋是清と田中角栄の対比を進める前に、もう少し高橋是清を掘り下げてみようかと思いました。 昭和恐慌とその後の日本経済史の流れを考える上で、ケインズ型の経済政策とサプライサイドエコノミクスの市場主義経済政…

小林吉弥『高橋是清と田中角栄―日本を救った巨人の知恵 』知恵の森文庫

やはり歴史は繰り返す? この本がユニークなのは、書名にあるように時代がぜんぜん違う 田中角栄 と 高橋是清 を人物、時代の共通点で強引に切ってみせるところにあります。 そしてもう一つ、それらを平成の時代と同じ地平に乗せてくれるところも面白いです…

小林吉弥『高橋是清と田中角栄―日本を救った巨人の知恵 』知恵の森文庫

三島由紀夫論で自分の世界に突っ走り過ぎたので(爆)、本来の私家版昭和日本経済史に戻ります〜。 三島由紀夫が自決して数年で、田中角栄首相が誕生します。 この本は、人物として田中角栄と高橋是清がとても良く似てると指摘しています。そういえば、今太…

滅尽争という無理心中

三島由紀夫の「戯曲の誘惑」という小文にこんな一節がある。「学生時代、新関良三先生の本で、”滅尽争”(フェルニヒエル・カンプ)という言葉を知ったときに、この言葉は私を魅してやまなかった。破局(カタストローフ)という言葉と、この言葉の記憶は今日…

【文学逍遥】猪瀬直樹『ペルソナ三島由紀夫伝』文藝春秋

三人三様のニヒリストたち 原敬暗殺は実はあるルートから平岡定太郎の耳入っていた。親分にそれを伝えに行ったが、原敬は話しだけ聞いてあまり真剣にはとらなかったようである。 果たしてその定太郎の情報は的中した。原は帰らぬ人となって、原の子飼いだっ…

【文学逍遥】猪瀬直樹『ペルソナ三島由紀夫伝』文藝春秋

原敬が任命した祖父平岡定太郎樺太庁長官と長官以後 どんな歴史にもその歴史の主役と脇役がいる。 もちろん主役と脇役とはあくまでもある種の無責任な後世の史観によって分類されたものだ。ここでは、主役とは日本をグランドデザインしていった岸信介を官僚…

【文学逍遥】猪瀬直樹『ペルソナ三島由紀夫伝』文藝春秋

三島由紀夫の戦後 1940年体制を官僚支配、大蔵省による銀行統制を軸に考察するこのブログのシリーズで、避けて通れない人物が一人いる。嘘です(ーー)このあたりの交差点であたしの方から交通事故に遭いたい人物です。 日米安保闘争をめぐって、三島由紀夫V…

野口悠紀雄『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』東洋経済

石油ショック乗り越えでは終身雇用も大事だったが それ以上に生産性の問題が本質的だった ズバリ!本書から引用してみましょう!「西ドイツでも日本でも、戦災によって戦前からの工場の多くが失われた。しかしそのために、新しい工場を作ることができた。技…

W.オーウチ『セオリーZ〜日本に学び、日本を超える』CBS・ソニー出版など

経済学 VS 経営学 ? 経済学が動揺している間に、経営学の方では毀誉褒貶激しい「日本的経営論」が気を吐いていました。 日本的経営はスバラシイ!昔からよくあるように、こうした指摘は日本人からではなく外国人がし始めて広まっていったようです。 「多く…

野口悠紀雄『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』東洋経済

純粋な市場経済と言えない国の方がなぜ成功したか〜経済学の試練の時代 さて、日本とドイツがかなり戦後経済体制が共通していることがわかりました。そしてそれを支える人材が戦前のエリート中心であることも確認しました。 そして両国とも戦後の混乱期を経…

【閑話休題】幻が幻で亡くなった日々

ここでちょっと寄り道をして、少し前に集中的に取り上げた『幻の1940年計画』アスペクト刊 にもどってみよう。1940年代には実現されかかっていた下記の4つの計画。これは1940年体制がひかれることになった戦時経済の中で消えさってしまったのだが、この時の…

野口悠紀雄『経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか』東洋経済

日本と独はなぜか似ている ヒトラーの経済政策が日本やアメリカよりも成功したケインズ理論の適用である、と言い切ってしまっている『ヒトラーとケインズ』に首肯する前に、独と日本の共通点をもう少し探求してみましょう!上記の本からまとめてみます。・後…

武田知弘『ヒトラーとケインズ』祥伝社新書

よい公共投資と悪い公共投資がある? では、前回ヒトラーの公共政策の簡単な復習をしましたので、今回さらにそれを見ていきます。筆者はここでケインズの重要な概念を持ち出します。「ケインズの失業対策理論には「乗数効果」というものがある。政府が投資を…

武田知弘『ヒトラーとケインズ』祥伝社新書

計画経済の世紀表題に書きましたように、20世紀はある意味で、計画経済の世紀だと言えると思います。その背後にはソビエト連邦の誕生ということだけでなく、経済活動そのものには大規模な国家レベルの計画性がどうしても必要なんじゃないかという、資本主義…

小林英夫 米倉誠一郎 岡崎哲二 NHK取材班 『「日本株式会社」の昭和史―官僚支配の構造』創元社

他人の空似じゃなかった!? 今回はその計画経済の系譜を駆け足でまず俯瞰してみます。「世界恐慌が始まる前年の1928年、ソ連では世界初の計画経済である第一次五ヶ年計画が始まった。この計画でソ連は、農業国から工業国への急速な産業構造の転換を図っ…

小林英夫 米倉誠一郎 岡崎哲二 NHK取材班 『「日本株式会社」の昭和史―官僚支配の構造』創元社

計画経済の系譜学前回戦時経済体制の骨組みとして長期的統制計画経済を可能とする間接金融の確立を探りつつ下記の流れを整理しました。所有と経営の分離⇒革新官僚⇒大政翼賛会⇒間接金融⇒軍需省 この連載エッセイでは、思いもかけずたくさんの恐れ多いレベルの…

野口悠紀雄『1940年体制 ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

経営は国家にやらせろ!今回は最後の方で少々ゆっきー史観を入れてみます。 前回、日本的企業活動を支える間接金融が資本家の論理を抑える形で機能し始めたことを整理しました。 今回は同じく間接金融の誕生を、官僚がそれをどう整備していったのかを切り口…

野口悠紀雄『1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

1940年以前の日本企業はまるでアメリカ企業だった?!さて、野口先生のご本は理論的で歴史的な考証も緻密なので、ゆっきーのぶっちゃけ方式で行きまーす。 現代の日本企業は、直接株の発行や債権の発行をして資金を集めることが増えたとしても、依然として間…

野口悠紀雄『1940年体制 ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

我らが出生の秘密 「しかし、もし、われわれの出生が別の時であり、われわれの親が、別人であるとすれば、どうであろう」 名著『1940年体制』第1章には、こんな文学的な一節があります。不気味で根源的な問い掛けです。文はこう続きます。「われわれは…