本山美彦『金融権力』岩波新書

$ゆっきーのエッセイブログ

 格付け会社に格付けしてもらわなくても・・・

 さて、ラップで遊んで『金融権力』に戻ります(^^)。

 格付け会社の権力性について考えようとしてたのですが、例えば企業情報を公開する義務のない会社、未上場の会社はそうした格付け圧力に直接さらされることはないわけです。

 例えばウィキペディアによるとこんな会社が有名にもかかわらず上場していない会社として載っています。http://goo.gl/ou9Qt 


パロマ - 社長が創業家(小林家)出身

ヤンマー - 社長が創業家(山岡家)出身

竹中工務店 - 社長が創業家(竹中家)出身

森ビル - 社長・会長が創業家(森家(本家))出身

サントリー - 社長が創業家(鳥井家・佐治家)出身

日本盛 - 社長が創業家(森本家)出身

日清食品 - 社長会長が創業家(安藤家)出身

などなど。

 ○○ホールディングスなどの名称でこの企業を含む統括会社が上場しているケースもあり、その場合には様々な情報公開をしないといけないのはもちろんですが、日本にはこうした非上場の有名優良企業がたくさんあるようです。

「日本には、世界にはない企業風土がある。100年以上の続く老舗企業が10万社以上もある。このように多くの老舗企業を抱える国は他にはない。しかし、その企業の多くは同族経営であり、資金調達の多くを銀行借入に依存している。株式も公開していない企業がほとんどである。」
本山美彦『金融権力』P6

100年以上の続く老舗企業が10万社以上という数字はこの本で始めて知ったのですがすごい数字ですね。

 そしておきまりのパターンとしてこういう企業には以下のような否定的な評価が口にされます。

・「コーポレート・ガバナンス」(企業統治)の基準から大きく外れている
・経営執行機能と監査機能の分離、社外取締役の権限強化が遅れている。
・資金調達面での資本市場の利用、株主重視、等々が企業の中で制度化されていない

などなど


「したがって、日本の老舗企業が起債しても、アメリカの格付け会社からトリプルAを得られる可能性は極めて低い。銀行の資金仲介機能が衰えていく金融環境の下では、こと、格付け会社との関係に関する限り、日本の老舗企業の将来は明るいものではない。」 同書同ページ


 まあ、そういうことになるかも・・・

 しかしどこかおかしくないか?


 確かに耳障りの良い言葉ではありますが、上記の企業評価とは「ワシントン・コンセンサス」に過ぎないという見方もできることを今一度考えてみる必要がないでしょうか?


 日本の常識は世界の非常識、アメリカの常識は世界の常識という現代社会の不文律がここでもミみられるような・・・。


 つづく・・・

参考 ウィキペディア「ワシントン・コンセンサス」http://goo.gl/lMKu