ヴェニスの商人の法人論

ヴェニスの商人の法人論9

「ねえ、堀木くん」 堀木は放心状態でソファに座っていた。 シャイロック2.0はというと、忙しく国際電話をしている。 デーブスペクターの怪しい流暢な日本語ではなく、抑揚は抑え気味だがリズミカルでテンポが恐ろしく早い英語だ。 ボストンの上流階級の社…

ヴェニスの商人の法人論8

「乾杯」 シャイロック2.0はこの上なく上機嫌で杯をあげた。「それでは、君たちに資金調達の極意を教えよう。我が祖先、シェイクスピアのヴェニスの商人のモデルにもなった本家本元シャイロックが一子相伝で伝えてきたものだ。私はくどいようだが仲間にし…

ヴェニスの商人の法人論7

「へえ、これはまた外資系って発想ですね」 堀木とユキコ、そして関西弁をしゃべる怪しいデーブ・スペクターシャイロック2.0の三人は、地下鉄銀座線虎ノ門駅の地上出口を抜けると、虎の門病院を左手に見つつ、たわいもない世間話をしながら徒歩で移動し、…

ヴェニスの商人の法人論6

閑話休題の閑話休題(ワルノリ小説) 「堀木くん、ベンチャー企業の社長さんになったんだね」 ユキコは10年以上前の中学校の教室での堀木を思い出しながら言った。「ああ、ベンチャーいうても資金も何もあらへんし、大嫌いなおやじの工場の事務所の一室借り…

ヴェニスの商人の法人論5

「なあ、君、君のそのプランは他社がやらないうちに早くやるべきだよ。君のような才能は株式公開で早く世にでないと社会的損失とさえ言えると私は考えるね」 シャイロック2.0は言葉巧みに青年を誘惑します。 青年は実は心の奥底では、自分のこのプランは…

ヴェニスの商人の法人論4

資本主義の宿命としての未来への飛ばしの幕開け それでは、シャイロック2.0が活躍する現代のヴェニスの商人の始まりでーす(^^)/。 舞台は東京渋谷 ITバブル盛んなりし頃の渋谷です。 当時渋谷では、シリコンバレーをもじって、渋い(ビター)、谷(バレー…

ヴェニスの商人の法人論3

さて、現代金融帝国資本主義の世界に再び降臨したシャイロックをここでは、そのバージョンアップ版としてシャイロック2.0と名づけましょう(笑)。 そうです。 ピチューがピカチューに進化したように、学校の不良が自衛隊に就職して各種軍事教練を積み不良グ…

ヴェニスの商人の法人論2

それでは、おとめのエッセイを続けます(^^) さて、ミリンダ王たちの楽しい問答があった北インドから、今度は舞台をイタリアへ移します。 そうです、表題のヴェニスです。 なお、本日引用しますのは岩井克人『ヴェニスの商人の資本論』ちくま学芸文庫 および…

ヴェニスの商人の法人論1

堅い話が続きましたので、今回は閑話休題でひさびさの「おとめのエッセイ」でーす。 古来哲学者を魅了してきた『ミリンダ王の問』。 紀元前に世紀後半に北方インドを支配したギリシャ系の王メナンドロス(ミリンダ王)と仏教の高僧ナーガセーナが実際に交わ…