読書感想文

小林英夫 米倉誠一郎 岡崎哲二 NHK取材班 『「日本株式会社」の昭和史―官僚支配の構造』創元社

計画経済の系譜学前回戦時経済体制の骨組みとして長期的統制計画経済を可能とする間接金融の確立を探りつつ下記の流れを整理しました。所有と経営の分離⇒革新官僚⇒大政翼賛会⇒間接金融⇒軍需省 この連載エッセイでは、思いもかけずたくさんの恐れ多いレベルの…

野口悠紀雄『1940年体制 ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

経営は国家にやらせろ!今回は最後の方で少々ゆっきー史観を入れてみます。 前回、日本的企業活動を支える間接金融が資本家の論理を抑える形で機能し始めたことを整理しました。 今回は同じく間接金融の誕生を、官僚がそれをどう整備していったのかを切り口…

野口悠紀雄『1940年体制(増補版) ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

1940年以前の日本企業はまるでアメリカ企業だった?!さて、野口先生のご本は理論的で歴史的な考証も緻密なので、ゆっきーのぶっちゃけ方式で行きまーす。 現代の日本企業は、直接株の発行や債権の発行をして資金を集めることが増えたとしても、依然として間…

野口悠紀雄『1940年体制 ―さらば戦時経済』東洋経済新報社

我らが出生の秘密 「しかし、もし、われわれの出生が別の時であり、われわれの親が、別人であるとすれば、どうであろう」 名著『1940年体制』第1章には、こんな文学的な一節があります。不気味で根源的な問い掛けです。文はこう続きます。「われわれは…

指南役『幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した』アスペクト

ダメ押し(ノ゚ο゚)ノ新幹線は実は1940年に計画されていた?!うーむ。 なんだかここまで来ると、1940年から歴史が止まってしまって戦後の高度経済成長期まで完全な空白だったようにも思えてきてしまう。 その列車は車輪が直径2メートル30センチ。最高…

指南役『幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した』アスペクト

テレビ放送開始は本当は1940年からだった?!うーむ(@@) この本面白いな〜 時は1936年8月。ベルリン・オリンピックが開催されました。「当時隆盛を誇っていたアドルフ・ヒトラー総統は、当初オリンピックを「ユダヤ人の祭典」であるとして開催…

指南役『幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した』アスペクト

1940年はバブルの集大成?幻の東京オリンピックだけじゃない! 1940年=皇紀二千六百年日本万国博覧会は前売り券まで発売されてた!? ウィキペディアにとんでもない情報があるのです!知っている人は知っているのでしょうか。あたしは、この本に載…

指南役『幻の1940年計画―太平洋戦争の前夜、“奇跡の都市”が誕生した』アスペクト

戦後の東京オリンピックは実は二度目であった それではその我が国の戦後を支配していると言われる1940年とは一体どんな時代で、どんな政策が行われたのかをタイムスリップして確認してみよう(^^) まず、この本の筆者によると1940年を迎える1930…

山崎裕司『談合は本当に悪いのか』洋泉社

日本は市場主義の国だとダレが言った?! もしかすると「談合は本当に悪いのか」という題名に不快感を持つ人がいるかも。というかいると思います。 ですのであらかじめ筆者のためにありそうな誤解を解いておきますと、この本は「談合はやっぱり正しいのだ!…

池井戸潤『鉄の骨』講談社

談合を考えるにあたって、ここはゆっきーらしく(^^)補助線を引いてみます。 『鉄の骨』という本はこの作品で直木賞の候補にもなった池井戸潤さんの本です。三菱銀行出身の人だけあって、銀行から見た中堅ゼネコンの記述にはなかなかリアルで読ませるもの…

勝谷誠彦『偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義』扶桑社新書

前回利権を軸にこの本を読み進みたいと書きました。ブログに書く前にその視点で本書とその続編の二冊を再読したのですが、意外にもその思いつきはなかなか使えそうです。せっかくなのでこれを簡単な公式にしてみました。それが以下です(^^)。『偽装国家…

勝谷誠彦『偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義』扶桑社新書

よくまあこんなに偽装が・・・ 我が国日本とは一体!と嘆くよりもなんというか、笑えてきてしまう軽妙な筆者の文章を引用してみましょう。 「高校で「単位偽装」して大学に入り、買った車は三菱で「リコール偽装」。ケーキを買えば不二家の「期限切れ偽装」…

勝谷誠彦『偽装国家―日本を覆う利権談合共産主義』扶桑社新書

地下経済についてはたくさんのコメント、再コメントをいただきとても刺激を受けました。ちなみにこんなに盛り上げていただいたのは小説ブログではついぞありませんで、小説よりもエッセイのほうが向いてるかなと一瞬考えこみました(笑)。ちなみに小説は短…

門倉貴史『日本の地下経済―脱税・賄賂・売春・麻薬 』講談社プラスアルファ新書

いかにもアンダーグラウンドな題名の本ですが、著者は浜銀(横浜銀行)総合研究所調査部研究員として主にマクロ経済の分析を担当するシンクタンクの人です。 冒頭に澁澤龍彦訳のマルキ・ド・サド『悪徳の栄え』のサド侯爵夫人の独白が引用してあるのですが、…

真壁昭夫『最強のファイナンス理論 』講談社現代新書

人間の面白い【癖】シリーズ!(*^o^)乂(^-^*) 「損切りは早めに、利食いはゆっくりと」でもなんで? 最初にクイズです! まるこ商事 あなたはかなりの資産を持っている金持ち父さん投資家です。 悲しいことにあなたのポジションにある”まるこ商事”の株が値下…

真壁昭夫『最強のファイナンス理論 』講談社現代新書

株式投資に必勝法はあるか?に立ち返ってみる 前回確認したように、著者がこうあらねば合理的経済人と言えないというのはゴルゴレベルのことでした。ゴルゴレベルの人で構成されるトレーディングの世界では、効率的市場仮説が正しいので、市場では完全な裁定…

真壁昭夫『最強のファイナンス理論 』講談社現代新書

デイトレーダーは資本主義社会の救世主たりうるか!?の検討 さて、では資本主義経済社会を新たな発展段階へと導いてくれるかもしれない合理的経済人とはどのような人だと期待される人なのでしょうか! 著者は明快にこう言います。「おそらく実例を頭に浮か…

真壁昭夫『最強のファイナンス理論 』講談社現代新書

ちと硬い言葉なれどすごく具体的な「効率的市場仮説」という考え方 さてと、それでは経済学の理論の入り口をうろうろしてみようと思います。 この本によりますと、効率的市場仮説という言葉を直感的に理解するには「裁定」という言葉から入るのがよいようで…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

ゼロサムゲーム思考こそが脱!ゲーム的株式市場を形成する??? それではゼロサムゲームを考えたいのですが、表題に掲げた命題が『ネット株の心理学』に説明されているのです。一体なんなのでしょうか。 ゼロサムゲームって奪いあいばっかりして結局成長的…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

じゃあ、東京証券取引所とかマザーズってなんだ〜?・・・と脱線しながらですが、株の売買という行為について考えてみました。 投資と投機との違いってあんまりないのじゃないかなというか、本当の投資というのは上場企業への株式投資じゃなくて、ベンチャー…

小幡績『すべての経済はバブルに通じる』光文社新書

道徳的な投資家は企業の崇高なサポーターか? どうもそうじゃなさそうで それでは、同じ著者のこれまでとは別の著書で「すべての経済はバブルに通じる」という命題を検討したいと思います。もしそうならば、株式市場をおもちゃにしてると非難されがちな投機…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

早く次に売る人間を探すんだ!!!でもそれって・・・ 売るために買うという視点の導入で見えてきたことがたくさんありました。個人的にはやっとわかった、という実感があります。 この本の終盤はその点に絞ったまとめになっています。ズバリ 「どうすれば、…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

何かおかしい?いやおかしくない? そっか!!! 株は保有するためじゃなくてすぐ売るために買うんだ!! さて、分割バブルの説明でなんとなく仕組みはわかったようなカンジがするのですが、なんかしっくりきません・・・。 そうです。 買いたいのに買えない…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

二匹目のドジョウで1億円?! 株というのが好きな方も嫌いな方も、素朴な疑問として「じゃあ、そういう分割しそうな株式を狙っておいたら、(自分が投資するかどうかは別にして)今でも1億円手に入れるくらいのチャンスがあるのかな」と一瞬思うと思います…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

ライブドアの分割バブルってなんだ!?それでは著者のバブル礼賛を追求するわけですが、その前にバブルとはどんな脳みそ状態になっているのかの確認です。著者自らが何を書きたいか最初に要約してくれていますのでそのまま引用します。? 「バブルの最中に、…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

あの素晴らしいあ○をもう一度どっかでお金にしないと永遠に保有しているだけになってしまいそうだ・・・ その答えはどうやらこの本に書いてあるようなのです。前回こう書いて終わりました。 優良株を長期保有して配当や株主優待を悠々自適に楽しむのではなく…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

トヨタ自動車と明治の文豪のつぶやき さて読み進めてみると、この本はやっぱ面白い。 例がいいと思うのです。数式やグラフではなくて実際の生きた例がすごくイキイキと一冊の散りばめられているのですが、p4にあるトヨタ自動車の例は、前回のコレを真っ向か…

小幡績『ネット株の心理学』MYCOM新書

自分でやる予定は今のところないのですが、最近株式投資というものに俄然興味が出てきました。 自分のお金で真剣に投資をしている方からすると素人がなにやら勝手なこと言ってるな〜、だと思うのですが(実際そのまんまその通りです)、本を読むだけで面白い…